2006年06月09日

パクパクとゲーム「ぼくのたいせつなもの」(ネタバレあり)

PC(Windows)用のゲーム「ぼくのたいせつなもの」をプレイしました。
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「ぼくのたいせつなもの」Windows 18禁

機種  :PC(Windows)
発売日 :2004/06/25
定価  :
ジャンル:ビジュアルノベル
開発  :TerraLunar(月面基地前)
プレイ時間:2時間程度(クリア済)

総合評価点数:87点
(総合シナリオ点数:94点 )

「らくえん」のおまけとして収録されている、この「ぼくのたいせつなもの」という2時間程度の短編ノベルゲーム。 当初ただのオマケ程度のつけ合わせ作品かと思っていたんですが、やってみると予想を遥かに超えて出来が良く、パクパクにとってはとても印象深い作品になってしまった。

基本的にパクパクは「声なし」のテキスト主体のゲームには関心が薄いというか、あまりやろうという意欲が沸いてこないので敬遠しがちだったんですが、本編「らくえん」の出来がよかっただけにオールクリア後の余韻に浸りながら、メーカーへの期待性の高さもあってオマケもとことん遊び尽くしてみようと軽い気持ちで始めたんですが・・・・・

クリアを迎える頃にはボロボロ泣けた。
う〜む、ここまで泣けた作品は「AIR」「てのひらを、たいように」以来だなぁ・・・。

冒頭のストーリー内容は
生まれつき病弱で身体の臓器のほとんどが衰弱している主人公。今のところ薬を服用しなんとか学校へは通っているものの、ここ最近の病状は特に悪化しておりこのままでは余命も長くないと医者に告げられていた。部活や運動もできず、友達も少なく学園内でも無口で孤立している彼の唯一の楽しみは、明るくいつも笑顔が絶えないクラスの人気者「冬木茉優子」を遠くから眺めること。 話しかけることが出来なくても遠くから彼女を見つめていられるだけで彼にとっては幸せだった。
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そんな彼の日課は、早朝の学校に来て、誰もいない教室で1人静かにまどろむこと。しかし今日に限って普段なら誰も来ないハズの早朝の教室に駆け足で来る「冬木茉優子」の姿があった。2人きりの教室で初めて言葉を交わす2人。彼女は友達との用事で今日だけ早く学校に来ただけだったが、彼はドキドキしながらも屈託のない笑顔で話しかけてくれる彼女と短いながらも会話が出来たことがとても嬉しかった。 

ところがその日、クラスの不良の1人が彼女に絡み嫌がらせをしているところを目撃する。身体に負担をかけられない主人公だったが、彼女のために意を決してなんとか仲裁に入ろうとする。殴られ、蹴られ、身体がボロボロになりながらも彼女を救うことが出来た彼は満足気だった。彼女はお礼を言いながら、いつも早朝に来る彼のことを知り「明日も早朝にこの教室で会いましょ」と優しく告げる。

憧れだった彼女と接点を持てたことが嬉しかったが、内心、病弱で取柄もなく無口な自分と、クラスの人気者で憧れの存在である彼女が親しくなれる訳がなく、これ以上彼女に近づいて嫌われるぐらいなら、いっそ今ままでのように遠巻きから彼女を見続けるだけの全く無関係の存在でありたいと願い、彼女と約束していた次の日は、わざと学校に遅刻して午後から登校していった。 しかし学校に着くと彼女は既に早退しており、次の日も学校に来ることはなかった・・・・・。そして、その次の日の夜、彼は彼女の本当の姿を知ることになる。

という内容。 
設定はかなりSFちっくでツッコみたくなる部分も多いんですが、文章自体は章ごとに分かれ短くスッキリまとまっているのでとても読みやすく、何より繊細な絵のタッチと静かに流れるBGMがこの作品の雰囲気を充分に表現できていて、作品の世界観にすーっと入り込むことができた。(ちなみにこの作品、選択肢は一切ありません。)

では、ここからはネタバレのシナリオ感想になるので未プレイの方は読まないでください。





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この作品は冒頭のケミカルが解剖されるシーンとヒロインが出てきたあたりで、完璧に思えた彼女が「作られた存在」であるってのは容易に想像できた。(主人公の臓器を生み出すためだけに作られたとまではさすがに予想できなかったけど・・。) ゲームだとこういう設定はありがちだし、ロボットや人ならざる異形のモノが人間のフリをしていて、主人公の身近にいるというのはベタだなぁ〜と冒頭は冷めたコトを思いつつプレイしていたんだけど、シナリオの見せ方(展開)が上手いのか、主人公の心情を綴ったテキストの書き方が秀逸なのか、進めているうちにグイグイ話に引き込まれている自分に気付く。そして、終わりを迎える頃には自然と涙が出ていたなぁ。 ライターが描いた作り物とわかっちゃいるがとても心に響いた。

とくに最後の主人公が夢を見るシーンでは、「自分が彼女をいつも見ていた場所」「大好きな彼女へ伝えきれなかった淡い想い」がテキストで淡々と綴られ、窓際に立つ彼女がこちらを向いて微笑んでいる「決して見ることが叶わなかった」幻の光景が映し出された時には涙が止まらなかった。
たった2時間程度の短い内容なんだけど、他の何時間とかかるゲームと違って無駄な描写が一切なく、ただライターさんが書きたかったことが素直に伝わってきたのが逆に良かったのかもしれない。(ゲームは長けりゃいいってもんじゃないなぁ〜と改めて実感させられる。)
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彼女が周りからモノとして扱われる様子や壊れていく肉体と心の描写はかなり痛々しいものがあったけど、それでも自分の置かれた突然の状況に戸惑いながらも明るく振舞おうとする彼女の姿。人間であった頃の自覚が薄れていく中で、彼女が最後に決意した「命を賭して自分を守ってくれた、彼の命を救えるなら・・・」という想いと、主人公の精神的にも肉体的にもとても弱い人間だけど、それでも最後まで懸命に自分の大好きな彼女を守ろうという強い想い、そして最後の希望にすがろうと必死にもがく姿。 2人それぞれの想いが伝わってくる描写には心打たれた・・・。

心臓移植をするとドナーの思考や性格が宿るという話があるぐらいだから、彼女の想いは彼の中で一緒にずっと生き続けていると考えるなら、この終わらせ方はある意味ハッピーエンドと言えるのかもしれないなぁ〜と思う。本編クリア後の「妹の手記」というカタチで綴ったエピローグも物語の最後に花を添えるという意味ではなかなか見事な演出でした。


posted by pakupaku(パクパク) at 07:20| Comment(0) | ゲーム「詳細レビュー」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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